サカモトハルキの哲学

北海道で5棟74室+月極P24台の大家やってます。2010年12月より法人化(10期目に突入!)。奥さんと中2小5男子と猫と自由にのんびり暮らしてま〜す!

映画『 マンチェスター・バイ・ザ・シー』を観て思ったこと

 

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アカデミー主演男優賞受賞『マンチェスター・バイ・ザ・シー』予告編

 

 

 

 

 

 

 

観終わったあとにしみじみ「いい映画だったなぁ・・・」と思えた作品。

喪失と再生の物語。

 

絶望に包まれた主人公なのだが、美しい港町の風景と優しい人々が必死で彼を慰めようとしているかのように見える。

全編に流れる賛美歌もいい!

 

どこか神話的でもあり、とても美しい作品だったよ。

 

ラストの甥っ子との坂道を歩くシーンが良かった。

気の利いた言葉もかけてあげれない不器用な男と、思春期の只中にいる青年。

 

孤独を抱えた男二人が歩いてゆくだけのシーンなんだけど、なぜか感動してしまった。

何ひとつ語られない。

ナレーションもない。

ただ2人が坂道を歩いてゆくだけなんだけど、それだけで救済、再生、希望・・・・に向かってゆくことが描かれてる。

素晴らしい演出だと思ったよ!

 

ケイシー・アフレックはこの映画でアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した。

しかしながら、そこに至るまでのあいだは大きな大きな「挫折」があった。

 

ケイシーは2010年に友人のホアキン・フェニックスと『容疑者 ホアキン・フェニックス』というフェイク・ドキュメンタリーを制作した。

ところがこの映画の内容が物議をかもして炎上し、アメリカ中からひんしゅくと反感を買ってケイシー・アフレックは「干されて」しまった。

 

主人公のリーと同様に「やらかして」しまったんだ。

そこで大きな挫折と失敗を経験した。

アカデミー賞を受賞するに至った彼の迫真の演技の背景には、そういう彼自身が背負った物語があったんだよね。

 

ついでに言うと、ケイシー・アフレックのお兄さんは言わずと知れたあのベン・アフレック。

ベン・アフレックもケイシーとはまったく違う形の女性スキャンダルで痛い目に遭っている。

その結果、ケイシー同様ハリウッドから完全に干され、大きな挫折を経験しているt。

 

 

その後、ベン・アフレックは『アルゴ』という映画を自ら監督して、見事アカデミー賞最優秀作品賞を受賞している。

 

兄弟揃って同じような目に遭い、その喪失から再生したという経験をしているんだ。

それはまさにこの映画で描かれるリー兄弟の姿にダブるよね。 

 

もうひとつ、この映画を語るうえで忘れてはならないエピソードがある。

共同プロデューサーに名を連ねているマット・デイモンの存在。

 

もともとはこの映画はマット・デイモンにオファーがあったもの。

しかしマット・デイモンは脚本を読んで、「この役は自分ではなく、ケイシー・アフレックが演じるべきだ」と主張した。

 

言うまでもないだけど、マット・デイモンとベン・アフレックは親友同士。

『グッド・ウィル・ハンティング』という映画の脚本を書き、2人揃ってアカデミー賞最優秀脚本賞まで受賞している。

『グッド・ウィル〜』の映画の舞台も、『マンチェスター〜』と同じボストンだったよね。

 

つまり、マット・デイモンは親友の弟を助けるために人肌脱いだんだよ。

泣ける話じゃないか・・・!

このマット・デイモンの粋な計らいにより、失意のどん底にいたケイシー・アフレックはその絶望の淵から見事に復活する。

 

その義理と人情はものの見事に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』という映画の本質的な部分と呼応しているよね。

この映画では徹底的に『人間と人間』の話が描かれている。

テクノロジーの発展がどうしたとか、株価がどうなったとか、そういうことは一切描かれないんだよね。

 

挫折を経験した主人公を温かく見守る人々。

そして、映画全編に渡って静かに流れる賛美歌。

とても温かい気持ちになり、まるで主人公を慰めているかのようだ。 

 

この映画のなかには繰り返し繰り返し、「キリスト教」の話が登場する。

観終わってから気づくのは「これはキリスト教の話だったんだ」ということ。

 

ご存知のとおり、キリスト教では『懺悔』と呼ばれるものがある。

懺悔はカトリックでは「ゆるしの秘跡」と呼ばれ、どんな罪を犯した者でも神からゆるしが与えられると言われている。

 

主人公のリーは明らかに大きな過ちを犯した。

実際にはそれは過失なのだが、彼はずっと罪の意識に苛まれ、苦しみ続けている。

しかし、懺悔をした者は救いを得ることができる。

 

どんなに絶望を経験した者だとしても、そこから再生することができる!